恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
肉体的だけじゃない。
あたしには、もっと大きな精神的苦痛があるから――
息を吸ったり吐いたりを繰り返しながら、ぼうっと床を眺めていると、
「……具合でも悪いの?」
後ろからボソッと声がした。
「えっ!?い、いたのっ!?」
そのままの体勢で振り向くと、シャツを着替えている最中のエビ君がいた。
誰もいないと思ってたのに。
「いたよ。周り見えてなさすぎでしょ」
「わはは、そうだねっ」
エビ君は、あれ以来部活帰りは家まで送ってくれている。
部活中でも西川先生の行動を監視してくれたり、あたしが一人にならないように気を配ったりしてくれている。
エビ君だって、過度な練習で大変なのに……。