恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

「なにも今つき合い始めなくてもいいだろ」


現実に頭がついて行かないのに、それでも佑真は言葉を並べる。


「なんで今なんだ?せめて甲子園が終わるまで待つとかできなかった?マネージャーならそんくらいわかるだろ」


……ただ分かるのは、あたしは今、責められてるんだということ。


言葉は淡々と紡いでるくせに、靴先を一定のリズムで鳴らす仕草が苛立ってるんだと教える。


「エビのリードに支障が出て困ってんだよ」


「支障が出てんのは俺のリードじゃなくて、オマエの投球。つーかなんだよ。なんでここに居んだ?」


呆然としているあたしに変わって、エビ君が落ち着いて返した。
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