恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
そう言えば、ある出来事を思い出した。
噂を聞く少し前――
「汗かいただろ、着替えてこいよ」
風邪をひかないように部室へ行かせたはずの1年が、なぜかそのままの格好で戻ってきた。
「着替えは?」
「あの…エビ先輩と瑠依先輩が部室に2人っきりで入りずらかったんですよ」
「2人がいたら入れないのか?」
「いや、なんつーか……」
そう言って、ソイツは顔を赤らめて頭をかいた。
その時はその意味が分からなかったが。
………そういうことだったんだな。
2人が何をしてたかなんて想像したくない。
勝手にやってりゃいい。
俺は至って冷静だった――はずなのに。