恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

早めのお風呂を済ませて、お母さんに尋ねる。


「うちに白い封筒ってある?」


「白い封筒?そこの引き出しにあると思うけど。何に使うの?」


洗い物をしながらリビングの戸棚を指したお母さんに、


「うんちょっとね」


言葉を濁しながら封筒を探し、自分の部屋に向かった。






「……ふぅ……」


勉強机の上に置いた封筒。


ゆっくり息を整えてから、そこへ「退部届」と書いた。



あたしは……

野球部から離れる決断をした。



あんな不安定なまま佑真には野球をやってほしくない。


佑真にとってあたしが目障りなら、目の前から消えるしかない。


だからっていつまでもサボり続けるわけにもいかないし、こうするのが一番いいと思ったんだ。
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