恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
先が読めたあたしは、言われる前に首を振ってその視線から逃れた。
前にも一度言われていたんだ。
またマネに戻らないかって。
「瑠依ほどの適任者はいないんだよ?」
さくらはあたしのほっぺたを掴んで、クイッと前を向かせた。
「……気持ちはありがたいけど、無理だって」
あの一件にあたしが関わってる以上、部員に合わす顔がない。
今も野球部員を見かけると、咄嗟に身を隠してしまうほど。
「みんな瑠依に戻って来てほしいと思ってる。これホントだよ?」
「そんなわけないって。……何もなかったような顔して、戻れるわけないよ……」