恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
あたしがやめたこと、知ってたんだ……
もうあたしになんて関心がない。
そう思っていたのに、それを知ってくれてたんだと思うと胸がうずいた。
「やめたらもう戻れないと思ってたけど」
「え……?」
なにが…?
「意外と楽しいのな。野球しかやってこなかった俺が、野球やめてやることあんのか心配してたけど」
「……」
「今まで野球に費やしてた時間、なんでも出来るんだぜ?ゲーセンだって買い物だって漫画読むのだって」
「……」
「その味占めたらなかなか戻れなくね?」
自転車の鍵を弄ぶように宙に浮かせながら、信じられない言葉を紡いでいく。