恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
一歩佑真に近づいた。
「あたしも戻れないと思ってた。でも野球を好きでいる限り、絶対に道は閉ざされない!」
佑真から野球を取り上げたあたしが言うのはムチャクチャだって分かってる。
だけど……だからこそ。
「俺は、俺から野球をやめたんだ」
そんなの本心に聞こえない。
聞こえるわけない。
「ねえっ…もう一度一緒に――」
「これ以上俺に構うな」
もう一歩前へ出たあたしを面倒くさそうに降りはらう。
「嫌ッ!だって今、ここから野球部の練習を見てたのは誰っ!?」
野球部に気付いてないはずない。
窓の外を指さしたときだった。
「佑真先輩お待たせ!」
張りつめた空気を軽やかな声が引き裂いた。