恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

言いにくそうに切り出したのは、佑真のことだった。


「あ……」


言葉に詰まった。


まさかここで佑真の名前を聞くとは思わなくて。


「…ごめんね。せっかく応援しててくれたのに」


でもすぐに表情を緩めた。



佑真が甲子園に出ない公式理由は怪我ということになっていた。


ただ、この辺では暴力事件が起きただの警察沙汰になっただの、色んな憶測が飛び交ってた。


佑真に憧れの眼差しを向けていた涼太君。

少なからずとも、涼太君の夢を壊してしまったはず。



「本当に、もう城山で野球をやらないんですか?」


「…うん…そうだね…」


敢えて頬を上げたのは、本能的な自己防衛。


悲しい事実を悲しいと思わないように…。
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