恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「始めは見間違いかと思ったけど、それから毎日見かけるようになって…。
帰るふりして残ってたら、倉庫から重い道具を一人で引っ張り出して…練習始めたんです」
「それ…本当!?」
佑真が野球を……?
「嘘でこんなこと言いません。噂のこともあってか、誰も話しかけられないでいるけど…
俺は早瀬投手のこと信じてます。あの時、俺たちに一生懸命野球への情熱を語ってくれた早瀬投手を」
あたしは息をするのも忘れて涼太君の顔を見つめた。
「野球をやりたくない人間が、わざわざ毎日グラウンドに来ますか?」
―――佑真は、野球を捨ててなかった……?
「練習相手もいないのに、一人黙々と……ずっと球を投げ続けてるんです!」
その瞳は真剣だった。