恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
その音を頼りに首を振ると、街灯の明かりがぼんやりと映し出す一つの姿。
「……っ」
あたしは急いで、その正面まで回り込んだ。
――シュッ…
その間も聞こえる音。
雑踏に紛れていれば、普通聞こえることのないその音の正体を、あたしは知っていた。
――MAX150が出る、佑真から放たれるボールの音だ。
カシャン!
しがみついて揺れるフェンスの向こうを食い入るように見つめる。
さっきよりも輪郭がはっきりしたその姿は、男性の姿だと分かる。
この学校に通う中学生にしては一回りも二回りも大きい体。
――シュッ…
それは……紛れもなく佑真の姿だった。