恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
息を長く吐いて。
大きく振り被って。
その先には。
キャッチャーもバッターもいないけれど。
長身の体から勢いをつけて放たれたボールは、真っ直ぐに緑のネットに吸い込まれた。
今じゃもう見られなくなっていた、真っ直ぐの、豪速球……
――佑真の……球だ……。
たった一人のグラウンド。
たった一人のマウンドで。
野球がやりたくてたまらない。
野球が好きでたまらない。
それが体中から溢れていた。
そうだよ。
佑真が野球を……やめられるはずなんてないんだ――