恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「教室まで来るなんてどういうつもりです?」
彼女がくるりと振りかえると、毛先の緩やかなカールが躍った。
ダンス部所属の彼女は、色白で手足もすらりと伸びてお人形さんみたい。
どう見たって女子力では劣る自分が、彼女と向き合ってること自体いたたまれない。
「あなたと知り合いとか思われたくないんですけど」
あからさまに嫌な顔をし、その辺の椅子を乱暴に引いて座った。
腕組みをしてあたしを見上げる。
口調こそ敬語だけど、どう見たって先輩だとは見られてない。
去年佑真に告白しているところを見たときは、もっと健気で純情な子かと思ってた。
まあ……購買で睨まれたときからなんとなくは予感してたけど。