恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
今のエース……。
佑真の抜けた穴を埋めようと、必死で頑張っている瀬戸君の姿が浮かんだ。
「城山高校野球部を台無しにした張本人に、一体どんな顔してまたエースに戻れって言うんですか?普通なら、もう顔を合わせるのだってたまらないでしょ」
「……」
「あたしなら可哀想でそんなところに戻れなんて言えませんよ!」
佑真が戻ってきたら、間違いなく瀬戸君はエースの座から降りることになる。
「……」
気張って来たくせに、彼女の言うことが正論すぎて何も言えなかった。
「それ以前に、部活の副顧問を殴って謹慎処分まで受けてるんですよ?正義感の強い佑真先輩なら、それだけでもう野球に関われないって思うはずです」
「……」
「やらないんじゃなくて、やれないんですよ。あなたのせいで」
「………っ」
言葉に詰まったあたしに、彼女は留めをさした。