恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「ううんっ、なんでもないよっ…」
だからそんな言葉も軽く出てくる。
口角だけをあげてから、ボールのたくさん入ったカゴを持ち上げて。
「わっ…あれ…?」
いつもと同じ力を入れてるのに持ちあがらない…
と思ったら、カゴの縁にさくらが片足を乗せていた。
「嘘」
そんな言葉を向けながら。
「……」
ジッと見つめられ、負けたのはあたし。
思わず背けてしまうと
「里菜ちゃん、悪いんだけどちょっとここお願いしていい?」
さくらは別の作業をしていた里菜ちゃんにそう声を掛けた。
「はい!あとちょっとなんで大丈夫ですよ!」
里菜ちゃんは明るく返事する。
さくらはあたしの手を引っ張ると、校舎の陰へと連れて行った。