恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

「だって……佑真はあたしの話になんて耳は貸さないだろうし、彼女の言うことなら聞くかもって…」


「はあ?佑真が野球に戻ったら、あの女なんて用なしになるんだよ?それなのに野球の世界に戻すと思う?」


「……?」


「部員のこと見くびってんじゃないよ。エビはもちろん、瀬戸だって…どれだけ佑真を説得してたと思ってる?」


さくらはそう言って、ここから少しだけ見えるグラウンドに目を向けた。


「そう……なの?」


エビ君はわかるけど、瀬戸君も……?


初めて聞く話に驚いた。


「あたしが瑠依を戻すのと並行してね…。

瀬戸だって、分かってるんだよ。……夏の予選、一人じゃ勝ち進めないって。それに、エースの座になんて元々こだわってない」


さくらは地面に目を落とす。
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