恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「だから、瑠依が今やらなきゃいけない仕事はわかるよね?」
「あたしの仕事……」
さくらは頷いた。
「伝えて欲しいんだ。このチームのために、佑真が必要なこと」
「えっ……?」
声が変わり、後ろを振り向くと。
いつの間に……。
あたしの後ろには、3年生の部員全員が揃っていた。
涙を浮かべているメンバーもいた。
「みんな……」
誰もが佑真の状況を分かって、それでも戻って来てほしいと願ってる。
……痛いほどに、伝わってきた。
「頼むよ、増田さん」
相変わらず感情がこもってない物言いのエビ君。
それでも彼にとっては真剣だと見て取れて、少し頬が緩んだ。
甲子園なんて……もう問題じゃない。
ただ、この仲間たちともう一度野球が出来るように。
あたしが今、出来ることを……