恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
佑真が隣り合っている椅子を引いた。
「ここまで来といて今更迷惑なんかじゃないから」
枕元で聞いた声とは全然ちがう、なんとなくトゲのある言い方。
どっちかって言ったら、いつもの佑真に近い。
……やっぱり……相当迷惑だったよね…
「兄貴、それ流行りのツンデレ?」
「はあ!?」
「それともマジで性格悪いだけ?」
「…るせーんだよ」
「今は優しい男がモテるらしいよ、クラスの女子が言ってた」
「そんな情報いらねえし」
そんな兄弟のやり取りに、目をパチクリ。
巧真くんなら、佑真と違って女心が分かりそうだな……
「騒々しいなあ、黙って食え!佑真もそんな言い方するな。こんなことでもないと家に女の子なんて来てくれないだろ。むしろ大歓迎だ!
さ、本当に座って。遠慮なんてしなくていいから」
お父さんの柔らかい笑顔に少しだけ安心して、あたしは一緒に食事をとらせてもらうことにした。