恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
アップを終えると、本格的な投球練習に挑む。
今度の相手は、キャッチャーのエビ君。
――バシッ!
その鋭い音に、1年生が振り返って二度見した。
「うおおっ…!」
「なんだよあの球……すげえぇっ!」
そのうち、1年生全員が自分の練習の手を止めて佑真の投球に見入る。
まるでメジャーリーガーのプレーでも見ているように。
普通なら先輩から喝が入るところだけど、キャプテンの斉藤君もそんな光景を嬉しそうに見ていた。
「ナイスピッチ」
エビ君から合格をもらった佑真は、満足そうにグローブをあげて返された球を受け取った。