恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
やったやった!
佑真が指名してくれた!
飛び上がりたい気持ちを抑えてカゴに跨ると、急にドキドキしてきた。
カキーン…
芯を捉えたバットで快音を響かせ、ネットに吸い込まれていく野球ボール。
体に染みついているこの動作は、久しぶりでもぴったり呼吸が合う。
てのひらにはいっぱい緊張の汗をかいてるけど、手元だけは狂わないように気を付けた。
何球が打ち終わったところで、投げようとしたあたしに佑真が手で制止する。
……もう終わりかな。
そう思っていると、
「俺、もう一回頑張るから」
凛とした目で、そう告げた。