恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
涙のあとに
あれから……
厳しい練習を繰り返して。
いよいよ夏の予選が、始まった。
「気合入れて行くぞ!」
「「「うーっす!」」」
キャプテンの掛け声に、みんなが気持ちをひとつにする。
春季大会の結果で低迷が囁かれていた城山だけど、佑真の復帰はあっという間に知れ渡り、一気に夏の大本命に躍りでた。
他校が"打倒城山"で一致団結してるような異様な空気。
地元紙もまたそれを煽る。
部員たちのプレッシャーが心配だったけど、むしろそれを楽しんでるよう。
佑真も野球部から離れてた期間、それなりの自主練を毎日積んでいたから遅れを取ることもなく、完璧な仕上がりを見せていた。
「瀬戸君!力抜いてね!」
ベンチで手のひらにかいた"人"ばかりを飲みこんでいる瀬戸君の肩を軽く揉んだ。