恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
その後の試合では、中継ぎに2年生を使うこともあった。
それが吉と出て、城山は順調にコマを進め続ける。
城山のピッチャーは佑真だけじゃないことを世間に知らしめ、新聞でも去年と随分違う野球をやってくると話題になっていた。
そして。
去年と同じ準決勝まで来た。
「緊張してる?」
声を掛けたのは佑真へ。
「全然。先発じゃないし。出来れば俺の出番がない方がいいんだけどな~」
余裕そうに言う佑真は、自分の出番が少ないことを少しもマイナスに思っていない。
今までは、俺が…俺が…
そう言って一人で投げ抜こうとしていた佑真が変わったんだ。
準決勝までくれば、打線はほぼ互角。
2回で集中攻撃を浴びてしまった瀬戸君に、早い段階で佑真が送られた。
去年と同じ舞台なのに、見違えるほどの成長を遂げた佑真。
それ以降は相手打線を完全に黙らせ、9回まで完璧なピッチングで勝利に貢献した。