恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
そして1ヶ月後の練習試合当日――
「うわー、イイ感じに荒れてるね~」
校舎を見上げたさくらの第一声が、あたしの心をさらに灰色にした。
あたしは責任を感じて、この1ヶ月、何だか気持ちが落ち着かなかった。
早く過ぎてほしいような、でも来てほしくないような…。
相手の高校は想像以上にひどかった。
グラウンドだって雑草だらけで荒れ果てている。
ボールだって真っ直ぐ転がりそうにもない。
「気にすんな、とっとと行くぞ」
そんなあたしの横を、佑真がバットケースを背負い直しながら入っていく。
「………前見えないし」
キャップをはたかれたおかげで、ツバで前が見えなくなった。