恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
夕日は傾きかけ、互いの影が長く伸びているグラウンド。
「行くぞ」
少し離れた佑真があたしに向かってボールを投げてきた。
「うん」
強引に始まったキャッチボールだけど……
夢みたい……
今、佑真を独占してるなんて。
明日決勝戦を迎える佑真は、甲子園にまだ行っていないのに今年のナンバー1投手なんて言われてる。
だんだんと、あたしの手の届かないところ行ってしまっている佑真と、こうして……
本当は嬉しくてたまらない。
置いてきたはずの気持ちを連れてきてしまいそうになる。
でも、せめて夏が終わるまでは……
広いグラウンドに二人きり……
しばらくキャッチ音だけが響く。