恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「俺さ」
―パンッ…
「うん」
―パンッ…
静かに佑真が話し出す。
「ここ数ヶ月、多分今までで一番野球をやってて楽しかった。
一度野球を失ったからだと思う。
でもそれだけじゃない。
瑠依に言われた言葉で、正直目が覚めた。
今まで見えてなかったものが沢山あったんだって」
……あたしの想いが届いてたなら、それだけで十分嬉しいよ。
自分の中でリズムを取るように、一言ずつ言葉を切ってボールを投げてくるけど、あたしは相槌だけを返していた。
言葉を挟まず、佑真の想いだけを聞きたかったから。
「仲間と一緒に、とか、仲間のために、とか。
わかってるつもりでも、マウンドに立てばそうじゃなかった。
もしかしたら俺……今まで一人で野球をやってたのかもしれない」
少し悔しそうに言うその言葉は、悲しくも聞こえた。