恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「だから終わらせたくない。
最後の夏、一分一秒でも長い夏にしたい。
瑠依と一緒に、少しでも長い夏にしたいから……
俺が絶対、今度こそ瑠依を甲子園へ連れて行く」
…………。
今まで順調にキャッチしていたボールがグローブからすり抜けた。
綺麗に整備されたグラウンドに、ボールが筋状に軌跡を作った。
"甲子園へ連れて行く"
それを伝えるために……?
そのために、大切な今、この時間を作ってくれたの……?
「……うっ……ううっ…」
こみ上げる想いが、唇を震わせる。
うれしいのに。
ありがとうって言わなきゃいけないのに。
「俺に感情をぶつけた日、言わなかっただろ?」
ボールを返せなくてキャッチボールが続けられなくなり、佑真がゆっくり歩いてくる。