恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~
「…なに……を」
唇が震える。
「あれだけ叫んで喚いてれば、普通"甲子園に連れてけ!"くらいの言葉が出てくる。
でも瑠依は言わなかった。仲間の為に…ただそれを繰り返して」
「そう……だっけ」
よく覚えてない。
あんな雨にも打たれて、もう記憶すら曖昧。
「無意識に自分の感情を殺すほど、瑠依も追い詰めれられてるんだと知った………」
「……」
自分でもわからないことを冷静に分析されて、それ以上の言葉に詰まる。
「だからこそ、絶対に連れてくって決めたんだ」
………佑真。
「もう一つ、分かったことがある」
あたしの目の前まで来た佑真は、今度は張らなくても届く声で続けた。
「俺、恋愛なんて野球の邪魔になるだけだと思ってた」
ドクンッ……
これまでの佑真の常識を覆す表現。
小さな期待と…でも、不安も感じずにはいられない。