水のない水槽
「遠藤、おっせーよ」

「わりぃー。講習、長引いちゃってさ」

「何も今日、入れなくてもよかっただろー」

「ギリなんだって、マジで。2学期からバイクで行きたいしー」


2人の会話についていけず、キョトンとしていると、まどかがこっそり耳打ちしてきた。


――先輩、今、教習所通ってるんだって。


「そこっ! ひそひそ話しないっ!!」


水落先輩がまるで先生のような注意をした。しかも、ビシッと指差し付きで。


「ハイハイ。んじゃ行きましょ~か~?」


そんな水落先輩を軽くいなすと、まどかはスタスタと歩き出した。


――頑張って。


わたしにそう一言残して。
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