水のない水槽
この日ばかりは、交通量の多いこの道路も、車の姿はほとんどなく、車道脇のいたる所にいろいろな出店が立ち並ぶ。


「朔~、何食べたい??」

「ど~しよっかぁ~?? めっちゃ悩むよ~」

「たこ焼きは決まりでしょ~。あとはイカ焼きと~…あ、かき氷も食べたいっっっ!」

「先輩、何がいいとか言ってなかったの?」

「あっくんはまどかが好きなヤツでいいって~」

「ハイハイ」


出店をひとつひとつチェックして、ホントはダメだけど、ビールと缶チューハイもこっそり買って。


気分はすっかりお祭りモード。


「ちょっと~さすがにそれは買い過ぎなんじゃない?」


わたしたちの両手がほぼ完全に塞がった頃、後ろから聞き慣れた声がした。


「雪乃ちゃんっ!!」

「お姉ちゃん……」


振り向けば、そこにはお姉ちゃんと彼氏のヒロくんの姿。


さっきまでのお祭りモードが沈んでいく。
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