水のない水槽
「あら? 悠子は朔乃たち、久しぶりだった?」

「学年も違うし。雪乃ちゃんは時々見かけてたけど」

「小さい頃はいつも3人一緒だったのにね~」

「え、遠藤先輩と朔乃って幼なじみなの!?」

「そうよ? あら、まどかちゃん、知らなかった?」

「ぜ~んぜん。朔が個人的に先輩と話してるのとか、見たことないもん!」


そう、わたしたちはいつも一緒だった。

先輩がお姉ちゃんの後を追いかけて、わたしが先輩の後を追いかけて。

いつの間にか……ホントにいつの間にか、わたしだけが少しずつ、少しずつ、道を逸れてしまっただけ。


――ゆーくん、あそぼ~♪♪


無邪気におねだりをしていたわたしは、もういなくて。
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