水のない水槽
「……さく、朔~」


目の前でひらひらとまどかの手が振られていた。


「朔、大丈夫? 夏風邪??」

「え…あ、ち、違うよ~。ちょっと考え事しちゃってた」

「も~。朔が黙り込んでるから、おばさんたちの餌食になってるんですけどぉ~」

「あはは(笑)。まぢ、ごめんって~」


なんとなく、なんとなくだけど。

気づいてしまった。




あはは。




わたし、ずっとずっと




あはは




もうずーっと前から




あはは




ゆーくんだけを見てたんだ…。
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