BEAST
『…へ?…、え?』
その男の声に一瞬あたしの思考回路が停止した。
「誰だ、てめー…」
そして、次第に暗闇に慣れてきたあたしの目が
その人物を捉える。
鋭く切れ長の瞳があたしを映し出す。
漆黒の瞳に漆黒の髪。すらっと通った鼻と薄く形の良い唇。
そして獣の瞳をしたそいつは小さくあたしを威嚇する。
そう。今目の前にいるのは馬鹿女達が毎日飽きもせずにキャーキャー騒ぎ立ててる、
正真正銘の黒川怜だった。