BEAST
怒鳴られるのを覚悟してあたしはギュッと目を閉じた。だけど怜から聞こえてきた声は怒鳴り声なんかじゃなかった。
「悪かった。」
少し悲しそうな声で悲しそうな目であたしを見てた。実際は本当に悲しそうだったかは分かんないけどあたしには怜が悲しそうに見えた。
「話を聞いてねー訳じゃねんだ。あんま喋んねーのはこれが俺の普通だからだ」
『え?』
「ちゃんとお前の声は聞こえてる。だから何かあんなら喋ってろ。気なんかつかわなくていいんだよ...、喋りてー時には喋りかけろ。聞いてやるから」
『...っ、な、んか、あたしこそごめん...』
怜の話を聞いたあとすごい申し訳なかった。
『...』
「...、なんか話、ねーのか?」