彼は私を狂愛した。
「ごめんなさい先輩。ちょっと今は...」
後藤くんがそう言った瞬間慧兒はレストランの奥に行き
なにかを手に取りこっちに近づく。
...ナイフ?
「ご、後藤くん!逃げて...!早く...」
私が後藤くんにそう言うと後藤くんは一度ニコッと笑ったあと
私の手を握った。
「大丈夫。一緒に逃げるよ」
「...え?」
後藤くんに手を掴まれたまま思い切り走って
バイクに乗せられた。
「しっかり掴まっててね」
「え、あ...」
「...早く!」
後藤くんの表情が険しくなった。
私は後藤くんの視線の先を見てみると
慧兒が笑いながらこっちへ向かってきていた。
「魅音ー待ってよー。一緒に帰ろ?」
「慧兒...」
私が慧兒の名前を呼ぶと後藤くんは私の腕を掴み自分の腰に回した。
「行くよ。魅音ちゃん」
そう言って慧兒を置いて後藤くんに着いていった。