彼は私を狂愛した。
中に入ってみると
すごく静かだった。
静かすぎて隣の住人の声が聞こえるくらい。
「後藤くん…お父さんとお母さんは?お仕事?」
私が尋ねると後藤くんは少しだけ微笑んだ。
「俺、一人暮らしなんだ。…親さ、俺が小3の時事故で死んだ。それから俺は親戚の家回りまくって……あ、ごめん」
___死んだ
後藤くんのこの言葉だけが頭に残った。
「あ、ごめんね…私...」
「ううん、気にしないで!」
後藤くん…そんな笑顔で笑わないでよ。
辛いくせに、本当はそんな笑いたくもないくせに…。
強がってる後藤くんを見ていると涙が自然と溢れた。