彼は私を狂愛した。

「ちょっと、コンビニ行ってきたんだ。魅音ちゃん甘いの好き?」



後藤くんは首を傾げて優しく微笑む。



なんで...なんで何も聞かないの...?



「...なんで?」



「え?」



「なんで何も聞かないの?...本当は聞きたいこといっぱいあるんでしょ?」



なんでこんなこと言ってしまうんだろう。



こんなこと言うつもりじゃなかったのに....。



後藤くんはそんな私を見て




__抱きしめた




「...え?なんで...!」



同情なんかいらないのに...。



可哀想な子って思われたくない。




「そりゃあ俺だって頭ん中ごちゃごちゃだよ。
 でも、魅音ちゃんのこと守ってあげたい。
 ただそれだけだから」



何、言ってるの...?



なんでそんなこと、私なんかに言えるの?



なのに、そう思っているのに



さっきまで怖くて流れていた涙が



嬉しさの涙に変わっていた。


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