彼は私を狂愛した。
「魅音ちゃん...着替え持ってきてくれる...?」
「え...?」
「...寝室に俺の服あるから持ってきて欲しい」
「そんなことより、救急車呼ばなきゃだよ...!」
私がそう言うと後藤くんは"ハハッ"と声を出して笑った。
「俺、見るからに元気でしょ...?だから呼ばなくて...いい」
後藤くんは苦しそうだった。
元気なんかじゃない...。
私のために無理してるんだ。
やめてよ...。
そんなの嬉しくなんてない...。
「...魅音、そいつ助けたいなら俺のとこ戻ってきて?」
後ろから慧兒の声が聞こえた。
「...わ、私が戻ったら後藤くんには何もしないって約束してくれるの?」
「うん」
この時、私は後藤くんを助けたい気持ちでいっぱいだったんだと思う。
だから...__
「...わかった。慧兒のところ行くよ...」
そう言って私は慧兒と住むことを決断した。