彼は私を狂愛した。
なんで何もしないの…
不思議でたまらなかった。
家に着くと慧兒は1人で部屋に入っていくと思いきや
いつものように優しく手を繋いでくれた。
そしてソファに腰を掛けると
『ちょっと待っててね』と言って慧兒が寝室へ行き
鞄を持ってきた。
なんだろ……。
そして慧兒はニコニコしながら鞄に手を入れて何かを取り出した。
「魅音、選んで?」
そう言われて慧兒の手元に目を向けると
右手には『ハサミ』
左手には『ペンチ』
が確かにあったんだ。
「選べって…なんで…」
慧兒は表情を変え
一瞬にして真顔になった。