彼は私を狂愛した。


カタカタカタカタ…



全身がおかしくなる位に震える。




だけど慧兒は顔色一つ変えずに真っ直ぐに私を見つめる。



「…選んでくれないなら










シンジャウ」





「……!や、やぁぁああ」



慧兒は今にもハサミを目に突き刺そうとしている。



「や、やめて…やめてよおおおおおおおぉぉぉ…!!!選ぶから…!」




すると慧兒はピタッと手を止めた。




「…ドッチ?」




ハサミ…は慧兒目に突き刺そうとしている。



ていうことはペンチの方がいいの…?



だって…ペンチに何ができるって言うの?



「左……」



小さい声でそう言った。



すると慧兒はニコッと笑って



左手に持っていたペンチを



右手の親指の爪に挟めた。
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