彼は私を狂愛した。
そして持っていた手に力を加え
思い切り引っ張った。
___ベリッ
ポタポタ…
「ふ、ふはははは…
痛いね、これ…」
慧兒が目を見開いて笑い
自分の爪を面白そうに見ている。
「ぁぁあああ…ゲホ…」
吐き気がする。
慧兒の親指は爪の奥の肉までも切れていて
ピンクの皮膚が一気に赤に染まった。
「魅音…これお前のせいだからね。
俺を裏切るたびに
俺はコワレテク…」
「やあああぁぁ…!もうやだ…やめて…!!」
私が叫ぶと慧兒は血だらけの親指を私の口の中に入れた。
「んぐっ…」
口の中に広がる新鮮な鉄の味。
「……じゃあ、俺を悲しませないでよ」
ガタガタガタ…
体がおかしくなりそう。
「は、は…い…」
「うん、いい子」
そう言って慧兒は笑い私の頭を左手で撫でた。