彼は私を狂愛した。

足りない部品


「それにしても爪はぎって本当に痛いんだね…魅音包帯巻いてくれる?」


慧兒は指に息をかけながら私に話しかける。



「あ…はい…」



私は急いで救急箱を取りに行き包帯を取り出した。



そして慧兒の指を何重にも巻いた。



「…うっ…あっ…ごめんなさ…い」



慧兒の指を見ていると涙が止まらなくなった。




「いいよ。俺が自分でやったことだし…」



慧兒…さっきと言ってること違うよ。



私のせいなんだよね…?




「…私、もう誰とも話さない。慧兒以外とは…」



私がそう言うと慧兒は微笑んだ。



そして




「うん、約束」




と、悪魔のように笑った。
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