彼は私を狂愛した。
なんで、そんなこと言うの…?
後藤くんが分からない。
「魅音?」
仕事をしていると私を呼ぶ声がした。
振り向くと
お兄ちゃんがいた。
「あ、お兄ちゃん!久しぶり」
二歳年上の兄、修二(しゅうじ)はしばらく会わないうちにすごく大人びていた。
お兄ちゃんとは、私が高校入学と同時に一人暮らしをするといって
しばらく会わないでいた。
「魅音、ちゃんとやってるかー?」
笑いながら私の頭をクシャクシャと撫でる。
「うん!やってるよー」
やっぱりお兄ちゃんと話すと楽しいな。
お兄ちゃんは店の料理を美味しそうに食べてくれて
仕事があるからと言ってあっという間に店から出て行った。
その後、私は慧兒が店長と話していることに気づいた。
そして慧兒が全力で走って外に出て行った。
え…?
まさか…
そんなわけ、ないよね…。
私、お兄ちゃんってちゃんと言ってたし…。
大丈夫大丈夫。
そう言い聞かせて仕事をしていた。