彼は私を狂愛した。
「魅音、なんで来たの?」
な…に言って…。
「なんで…なんでお兄ちゃん…」
震える声を抑えながら必死に話すと慧兒は鼻で笑った。
「兄貴だったんだ。へぇ。…でも男には変わりないでしょ?」
なんで、人を殺してそんなにヘラヘラしていられるの…?
なんで、なんで、お兄ちゃんなの…?
「どうして…!!」
慧兒の胸を思い切り押した。
すると慧兒は私の目頭に
ナイフを近づけた。
「は?…男と話さないって約束したじゃん」
あと、数センチで刺さりそうなほどナイフが私の目頭に近づく。
「やっ…やめ…」
「魅音に触れるやつはみんな
コロス」
カランカラン…
ナイフが音を立てて地面に落ちた。
「うっ…あ…お兄ちゃん…」
「うるせーよ…」
ギュッ__
慧兒が私の足を角度を変えて何度も踏み潰す。
「いた…い…」
もう、こんな生活耐えられないよ…
どうして慧兒は…
私の大切なものばかり
奪って行くの___……
悲しさと怒りが最大限にまで達したせいで
涙さえ流れなかった。