彼は私を狂愛した。

私は走った。




行く先もなく



ただただ、慧兒から逃げたくて



こんな自分が嫌で嫌で



大嫌いで…



もう、死んでしまいたくて。



「うっ…あぁああああぁぁ…!」



ずっと溜め込んでいた涙が一気に溢れた。


「もぉ…無理…」



泣きながら走って向かっていた先は



バイト先だった。



こんなところにいたらすぐ慧兒に見つかるよね…



私、何がしたいんだろう…




カランカラン〜♪



店内に入り、私は奥へ奥へと進んだ。




目に入ったものは、たくさんの調理用のナイフ。




…お兄ちゃんはこのナイフで殺されたの?



「はぁ…はぁ…ぁああああああああ…やあああああ!!」



頭を抱え込み叫ぶと


足に力が入らなくなり蹲った。





そして意識が朦朧とした。






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