彼は私を狂愛した。
「...あ...」
そこには後藤くんがいた。
やっぱり後藤くんだったんだ...。
「ご...」
私が話しかけようとすると後藤くんは
あからさまに私から視線を外す。
「...あの」
いつもの私だったらきっと声はかけられないと思う。
だけど今は違う。
「...はい」
後藤くんが小さく返事をした。
そしてゆっくりと私へ視線を向ける。
「...助けてくれたの...?」
「...はい」
「あ、りがと...う」
ぎこちなくお礼を言った。
すると後藤くんはため息をついて頭をポリポリと掻く。
「...じゃあ、俺はこれで」
後藤くんは私の前から去ろうとしている。
当たり前のことだよね...。
私が今まで散々してきたこと。
「...ま、待って!!」
私は無意識に後藤くんを引き止めていた。