彼は私を狂愛した。
「...え?」
後藤くんが不思議そうに私を見る。
「...ごめんなさい!」
「え、どうして謝るの?」
「だって、私後藤くんに散々迷惑かけて...
それなのにあんなひどいことして...」
私がそう言うと後藤くんは少しだけ微笑んだ。
「魅音ちゃんが無事なら俺はそれでいい」
え...?
なん...で...?
「...私のこと責めないの?」
「...責める理由なんてないよ」
後藤くんの言葉一つ一つが胸に響く。
どれも優しい言葉で。
「...ごめんなさい」
謝ることしか私には出来なかった。
だけど後藤くんは優しい笑顔を私に向ける。
「ううん、気にしないで」
「でも...ッ」
私がいい詰まると後藤くんがふと口を開いた。
「じゃあさ、これからは俺のこと舜って呼んで?
そうしたらもうあの事は俺も魅音ちゃんも無かったことにする。
それなら魅音ちゃんも気が楽になるでしょ?」
そういってニコッと笑った。