彼は私を狂愛した。
5章

大切なこと


12月24日__…


クリスマスイヴ


だけど、私はいつも通りバイトがある。


それと、舜との約束…


舜はまだ覚えているのかな


私、あんなひどい言い方したから無かったことになったかもしれない。



「…魅音、行こう」



慧兒が私の手を握る。


Yシャツの隙間から根性焼きの跡と


リストカットをした痛々しい腕が目に入る。



私も慧兒と同じ腕をしているんだよね…



舜がみたらどんな反応されるんだろう。



「魅音?」


慧兒が私の顔を覗く。


「…ううん、行こっか」



慧兒のオートバイに乗りバイトへ向かった。


すると慧兒がふとこんなことを言う。



「魅音、クリスマスの約束…覚えてる?」


「え?」



「…明日は一緒に楽しもうな」



慧兒が悲しそうに言葉を発する。



なんで…?



「…うん」



きっと明日は楽しめる。


本当に心からそう思っていた。
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