彼は私を狂愛した。
そしてやっと仕事が終わり
時計を見てみると午後9時だった。
「はぁ…」
ため息が零れた。
9時って…さすがに長いよ…。
もう、帰らないと…
私は帰る支度をして外へ出ると
舜はいなかった。
やっぱりもう帰ったよね…。
それとも角山公園にいるの…?
あそこには行きたくないよ…。
お兄ちゃんを思い出してしまうから。
私は歩いて慧兒が待っているアパートへ向かった。
カツカツカツ…
歩いていると後ろから私の足跡へ続く音が聞こえる。
カツカツカツ…
トントントン…
ゃ…いや…
私は早歩きになりアパートとは逆方向の人通りが多い道へと入った。
「はぁ…はぁ…!」
もう…大丈夫かな…
恐る恐る後ろへ振り向こうとした。
だけど振り向く寸前に微かに足跡が聞こえた。
え…?
や、やだ……!!
私は走った。
恐怖から逃げたくて思い切り全力で走った。
何分くらい走ったか分からない。
だけど辿り着いた先は
角山公園だった__……