彼は私を狂愛した。
「いらない...」
「え...?」
「偽りの愛なんていらないよ...」
私がそう言うと慧兒は驚いた顔をしたあと
フッと鼻で笑った。
「...偽りなわけないじゃん。
でも、本当は魅音のこと最初は好きでもなんでもなかった。
だけど、魅音のこと知っていく内に...」
パンッ!!
私は慧兒の頬を思い切り叩いた。
「いった...何?」
慧兒が自分の頬を撫で下ろす。
「やっぱり、慧兒...私のことなんて好きじゃなかったんだね」
「は?それはだから...」
「私は好きだったよ。慧兒のこと。
でも、やっと分かった。
もう慧兒なんて好きでもなんでもないって」
自分で言っている事が馬鹿だって分かってる。
だけど言わずにはいられなかった。
ふと慧兒に目を向けるとすごく驚いた表情をしている。
だけど、すぐ口を開いて言った。
「...そっか。分かった。ごめんな」
慧兒はそう言って私に部屋の鍵を渡した。
「もう、来ないから安心しろ
今までごめんな」
『ごめんな』
ねぇ、慧兒。
私、慧兒のその言葉
たとえ嘘だとしても私は信じるよ__...