彼は私を狂愛した。
「な、なに…?」
後ろへ振り向き慧兒を見つめると
慧兒から首元をジッと凝視された。
「魅音、ネックレス外した…よね…?」
慧兒が悲しそうに私に尋ねる。
「…うん…ごめ…」
謝ろうとした寸前に口を手で抑えられた。
「謝んないで」
「んっ…苦し…」
息を漏らすと慧兒はハッとして私から手を離した。
「ごめん…!」
なんだか…出会った頃の慧兒みたい…
まるであの地獄のような日々が嘘だったかのように。
「…それじゃ…私、行くね…」
「あ…うん」
慧兒は何かを言いたそうだった。
それに気づいていたのに
聞き返すことはしなかった__