彼は私を狂愛した。
「はぁ…はぁ…」
走ってコンビニに向かい私は慧兒がいるか外から中を見渡した。
あ…いた…
慧兒らしき男の人が見え、私は迷わず中へ入った。
「いらっしゃ…魅音…?」
慧兒は私を見て少し驚いていたけれど
またすぐ我に返った。
「どうしたの?」
「あ、あの…」
話が切り出せない…
「……魅音」
突然慧兒に名前を呼ばれた。
「え…?」
「悪いんだけどさ
金、貸してよ」
え…?
「なん…で…」
予想外の言葉に戸惑う。
「頼めるのお前しかいなくて、だから」
「む、りだよ…」
私が小さい声で断ると慧兒が舌打ちした。
「…頼むよ」
何でそんなこと…
「ねぇ、慧兒…」
私が呼びかけると優しい声で応答してくれた。
「ん?」
「店の近くにいたのって…慧…兒?」
……聞いてしまった。
すると慧兒は少し時間を置いて言った。
「俺じゃないよ」
「え…?」
「なに、信じてくれないの…?」
慧兒じゃなかった…
私、飛んだ勘違いしてた。
「ごめん、人違い…」
「ふーん、じゃあ話戻すけど金貸して?」
「いくら…?」
「取りあえず3万。すぐ返すから」
3万…か…
「分かった。…でも返さなくていいから…」
「は?なんで…」
慧兒が苛立ちの口調で話す。